4月中旬、上海市第一中級人民法院が、クレヨンしんちゃんの出版元である双葉社が中国企業に損害賠償を求めた裁判の判決で中国企業の著作権侵害を認め、行為の即時停止と経済的損失の支払いを命じた。
昨今の知的財産権に関する中国での裁判における勝訴判決例である、「クレヨンしんちゃん」のあるページの完全なコピーが商標登録として使われていたことから著作権侵害が認められたようだ。2004年に提訴してから8年を要して勝訴となった。
クレヨンしんちゃん:上海裁判所が著作権侵害認める
http://mainichi.jp/select/news/20120418k0000m040092000c.html
中国における「クレヨンしんちゃん」訴訟の勝訴判決について
http://www.futabasha.co.jp/introduction/shinchan_trademark/index.html
今回もそうだが商標である「クレヨンしんちゃん」の「商標権」が中国側で既に登録されており、著作権を所有する企業との契約に基づき中国で「クレヨンしんちゃん」名を使った本や製品を販売仕様とした中国企業に対して、当局から待ったがかかったことから提訴された。
商標権登録は先願主義なので最初に届けた人に権利が所属する。そのため、諸外国で名が知れている名前、地名、ブランド名等が将来の商標権利用料を見越して登録されているのが現状のようだ、日本でもそうだろう。最近話題となったのはアップル社のiPadだ。 著作権は創作的な表現をした人に認められる権利だ。クレヨンしんちゃんの著作権は日本側作者が保有する。
この裁判では、商標登録の内容が「クレヨンしんちゃん」のあるページと全く同じであったことからコピーと断定され、著作権侵害が認められたようだ。
この著作権と商標登録、欧米のルールであろう、それを中国を市場とすることから中国側が中国の考えで対抗しているように見える。これが昨今の中国の知的財産権の動向だろうし、中国は知的財産権を国家戦略にも位置づけていることからギシギシやっているように見える。欧米流の考え方や価値感が支配的な国際社会においては、中国のやり方が独善的に映ることは当然だろう。
中国が市場と見られていなかった過去においてはさほど問題にならなかったのだが、13億人の人口を抱える巨大市場と捉えると一定のルールの下での経済活動が求められる。
「有田焼」も既に商標が登録されている。陶磁器は元々は景徳鎮から朝鮮半島を経由して日本へ伝来していることから著作権がどこまで主張できるのかわからない。日本の「有田焼」は対抗策として「有田磁器」として商標登録をしているようだ。
もう一つ興味深い話がある。漢字を使っている日本人は著作権侵害か?これも面白い。
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